「これってお家デートってやつだよね?」

「凪さんみたいなこと、言わないでくださいよ〜」

咄嗟にそう笑って言ったものの、意識してしまった。健吾さんとこの家で二人きりになった時はすぐにカフェに出掛けてしまったし、この家で誰かと二人きりの時間を長く過ごすなんて言われてみれば初めてかもしれない……。いやいや、今は映画を見ることに集中しないと!

テレビの前に置かれたテーブルの上に、それぞれの飲み物とお菓子を置き、敦さんが映画を再生する。日本のものではなく海外の映画で、どうやら恋愛もののようだ。

(敦さん、恋愛もの好きなのかな?何だか意外……)

敦さんの執筆する小説は、ミステリーやサスペンスが多い。作品の中にほんの少し恋愛要素があっても、ほとんどが難事件を解決する刑事や探偵の物語だ。

敦さんと仮の夫婦になるまでは、私は小説なんてほとんど読まなかったけど、「旦那さんの作品くらいは読まないと失礼だろう」と思い、敦さんの小説を読み始めた。するとすごく面白くて、一気に読書が好きになっちゃったんだよね。