そんなことを考えていると、モカちゃんを手の中から奪われ、店員さんに返されてしまった。私が驚いて声を出そうとすると、強く抱き締められる。シトラスの香りがふわりと漂った。

「他の男に隙を見せないでください。あなたは力で劣る女性なんです。こうやって閉じ込められたら逃げられない」

健吾さんの腕は細く見えて逞しい。流石警察官だ。この腕から逃れることはできないだろう。そう思うと、目の前にいるのはやっぱり大人の男性なんだと思ってドキドキしてしまう。

「……はい、気をつけます」

「あなたに触れるのも、閉じ込めていいのも、私たち夫だけなんです。他の男にあなたが奪われるとなったら、私は警察官ということも忘れてその男に手を挙げてしまうでしょう」

淡々と言われた言葉がまるで鎖のように心を締め付ける。恋愛ドラマに登場する台詞より、ずっと重くて甘ったるい言葉だ……。

「け、健吾さん、苦しいです!健吾さんの気持ちはちゃんとわかりましたから!」

胸板を叩いて何とか離してもらった後、今度はハムスターと触れ合うことにした。その写真を結翔くんたちに送ったら、「いいな〜、健吾さん!楽しそう!」と送られてきた。

みんな、小動物に癒されたかったのかな?