翌日。
登校したら、校門前に何人かの生徒が立っていて、
その中に夕凪とみのりちゃんの姿も見つけた。

風紀委員のひと達だ。
月に三回くらい、風紀委員が登校してくる生徒達の身なりをチェックしている。

学園の校則はあんまり厳しくない。
偏差値はそれなりの学園だけど、髪色やメイクもあんまりにも奇抜じゃなければスルーだし、
相当の非行が無ければオッケーだった。

正直私はこの「偏差値がそれなり」の学園に入るために、死ぬほど勉強して受験に臨んだんだけど…。

「夕凪、お疲れ様」

「あ、シュリ!おはよ」

夕凪が風紀委員らしい目つきで私の服装を上から下までチェックした。

「ちょっと来て」

チェックしていた夕凪が私の手を引いて校舎に入っていく。

「夕凪!?」

「みのり、ごめん!すぐ戻る!」

「ちょっと夕凪、なに!?」

夕凪はそのまま私を教室に連れていって、
自分の鞄から取り出したポーチを持って、また私を連れて、トイレに行った。

「夕凪、どうしたの!」

「あんたねぇ、わざとじゃないんならちゃんとしてきなさいよ!」

鏡の前に立たされる。

トン、って首元に指を当てられる。

「あ」

「あ、じゃないわよほんと…。見せつけられて最悪な気分!」

「ごめんなさい…」

ポーチからファンデを取り出した夕凪が、
リキッドタイプやプレストタイプを駆使しながら塗ってくれた。

「なんとなーくだけど…ちょっとはマシでしょ」

「ありがと…」

「ほんっと独占欲の強いひと」

「え?」

「星乃先輩!今更牽制なんてしなくてもいいのに」

夕凪は皐月くん達との事情を知らない。

「あはは…気をつけます…」

「服装チェック、アウトだからね?」

「はーい…」