目を開けた。

目の前には、見慣れぬ白い天井に、大きなベッド。

クローゼットには、私の服が何着もかけてある。

そうだ、私はなぜか副社長、いや怜士さんの家にいるんだ。

その前に、怜士さんと付き合うことになったんだ、しかも結婚前提で。

結婚と言われてもいまいち実感が湧かないし、だいいち怜士さんとは二日前に会ったばかりだ。

だけど、彼の一挙一動に狂わされているのは確かで、私は瞬く間に恋に落ちたのだろう。

怜士さんは策士だ。ああやって私を囲い込んで、私が離れようとすると子犬みたいな守って欲しい目で繋ぎ止める。

そして私の知らないところで、こうやって引っ越し作業までしてしまったのだ。

当然のようにクローゼットにかけてあるスーツを見た。