焦ってしまい、早く止めなきゃと無我夢中で鼻をこする私の手を、早瀬が必死に掴んでいた。
「平石!しっかりしろよ!平石っ」
「……」
「考えるのをやめろ!おまえはなにも悪くないから!」
どんなに私が傷ついても誰も言ってくれなかった言葉が、頭の中を通り抜けた気がした。
フィルター1枚隔てたような視界の先でなにかを叫んでいる早瀬。
それを見つめる私の目からはいつのまにか涙が流れていた。
やっぱりあのとき、死んでしまえばよかったんだ。
いや、だめだ、アズマさんをまた泣かせてしまう。
でも、でも
力を振り絞り、アズマさんのお粥の味を思い出そうとするけど、脳内に飛び交う鋭い刃の数々がそれを切り裂いていく。
ふいに流した視線の向こうで、華凛がほくそ笑んでいた。
なにもかもを諦めかけた、なにもかもがどうでもよくなった、私と同じ虚しい目をしている気がする。
そして
彼女は新山くんの襟を引っ張り
───その唇にキスをした。



