「……っ」
ぽた、ぽた、と
落とした目線の先に、赤い滴が数滴落ちた。
それが自分の鼻から垂れているものだと気づいたのは、隣に立つ早瀬に「平石、おいっ」と焦った様子で呼びかけられたときだった。
「……ぁ、ごめ」
無意識に拭った指先に、血が伸びる。
なんで、こんなときに、なんで。
「まーた平石?次は鼻血かよ」
「演技じゃないの?動画ではビッチなのに、被害者ヅラだけは上手いもんね」
注目がいっきに私に集まる。
聞こえる、聞こえる
私の心を削る声。
──「死ねよ、あいつ」
──「キモイから消えればいいのに」
すべての声が「死ね」と「消えろ」に変換されていく。
早瀬以外、私を心配する人なんて誰もいない。
ま、まずい
みんなの視界から、消えないと、いけないのに。
ガタガタとあとずさる私の腰にぶつかった机から、ぐしゃぐしゃな教科書やノートが床に落ちる。
ページを破られ使い物にならないそれには、真っ赤な文字で「死ね」と書かれていた。
ほら、ここにも。
私が汚い証が。
私が消えるべき証が。



