新山くんはいつまでも口を開くことなく、ただ華凛の叫びを聞いていた。
……ねぇ新山くん、どうして黙ってるの。
真っ黒な目。
その奥にはどんな感情が煮えたぎっているのだろう。
ズキズキとした胸の痛み。
新山くんならハッキリと言い返してくれると、卑しい脳みそが勝手な期待をしていたらしく、それは見事に打ち砕かれた。
あたりまえだ。
今の新山くんに、私を庇う必要も義理もない。
だって彼は、想い人に今まで向けた好意をそのまま裏切られたような立場にいるから。
むしろ華凛のまっすぐな恋心に胸を打たれている可能性だってある。
ああ、新山くんに、本当に嫌われてしまった。
大好きな人が華凛のものになってしまう。
ここまで醜い嫉妬に襲われたのは生まれてはじめてだった。
そうか……新山くんも、秋道さんも、ずっとずっとこんな気持ちを抱えていたんだ。



