病んだ心をつまびいて





私のマンションにたどりつくと、新山くんは建物をじっと見上げた。



「なんか、思い出すな。こういうマンション見ると」



その横顔は、どこか楽しげで




「俺さ、高一のときこんな感じのマンションに住んでたんだよ。いまは引越しちまったけど、すげぇ懐かしい」


「へぇ、そうなんだ。このあたり?」


「うん。じつはそのマンションである事件があってよ。それを怖いだのなんだの怯えた両親がすぐに引っ越そうって大慌てで手続きしてたのよくおぼえてるんだ。けっこうでかい騒動だったから」




事件かぁ……

そんなに大事なら、私も知っているかもしれない。





「2人死んだんだ。他殺か、はたまた心中か。定かじゃねぇけど、かなりえぐい内容でな」

「……」

「じつは俺──その事件が起きた瞬間、目の前で目撃してるんだよ」

「え……」




新山くんは私を一瞥してから、ゆったりと語りだす。