「……一緒に待ってていい?」

「うん!」

「ありがと」


ポンポンと頭を撫でると、気持ちよさそうに微笑んだ桜。


……可愛い。ずるいぐらい可愛い。


「……もうキスしたのか?」

「えっ!?」


あからさまに顔を真っ赤にした桜の反応を待て、心底絶望した。

そりゃ、そうだよな。


「じゃあそれ以上は?」

「し、してないよっ……まだ高校生だし」

「そうか」


よかったよ、まだそれ以上はしてなくて。

どうにかその事実で精神を保ち、ポーカーフェイスを続ける。


その後もしばらく他愛ない会話を続ける。


そしてスマホが震えた。

“合図”だ。


「桜、ちょっと様子見に行かないか?」

「えっ?うん、いいよ」


大人しく言うことを聞いてくれた可愛い桜と共に教室を出た。

そこには、書類を持って階段から降りてきた一条と……階段の下に待機する、美山がいた。


そして一条はつまずく。