「私が一条に女として近づきます。だからあなたは桜ちゃんと一条の関係に亀裂が入ったところ、桜ちゃんを慰めてでもなんでもして、一条への好意をなくしてください」

「そしたらお前に何の利点もねぇじゃねぇかよ」

「いいえ、一条から突き放せるというところだけで十分です。それからはあなたから桜ちゃんを奪います。……あ、なんでもしていいって言ったけど、手出したら殺しますからね」

「手なんか出さねーよ」


桜のことは大事にしたい。その気持ちだけは、きっと3人に共通しているのだろう。

そして、俺にとっても全然悪い作戦ではない。


「……決まりだ。頼むぞ」

「はい。それで、今日早速やりたいことがあるのですが——」



放課後。


桜が教室に1人でいるところを見かけて、隣の席に座った。


「秋ちゃん……?」

「どうしたんだよ、ぼーっとして」

「ね、寝不足で……蓮くん生徒会の仕事持って帰るらしいから、待ってるんだ」

「そうなのか。もう怖くないか、大丈夫か?」

「うん、おかげさまでだいぶ良くなったよ」



……知ってはいたが、やはり桜は芯が強い。

そんなところも好きだが、こうなってくると少し厄介だな。