ある日、俺の目の前に天使が現れたんだ。

ふわふわしていて、とても可愛らしい。


桜と出会ったのは6歳の頃。もう13年の付き合いだ。


小さい頃から容姿とスペックのよかった俺は女からとてもチヤホヤされていた。

そして、物心ついて公園でメイドと遊んでいたら偶然桜が現れたのだ。本当の母親と共に。


たまたまボールが飛んできて、桜に渡してあげたのが会話のきっかけだった。


それからよく遊ぶようになり、俺は次第に桜へと惚れていった。


そして今に至る。

桜をあの後輩に奪われて、苛立ちながら屋上に向かっていた。


「桜……」


一枚の写真に閉じ込められた桜。

恐ろしいぐらい綺麗な笑顔でこちらを向いている。


俺は恋して10年だぞ?どうしてそれよりも短いアイツなんかと……。

答えはわかっていた。あの最悪な家庭から助け出したのがアイツだからだ。


俺にはできなかった。桜が嫌がると思っていたから……だけど、そんなことなんて考えなくてよかったらしい。


すぐにでも助け出してやれれば……。



そんな後悔がまた、醜い感情を生み出す……。


桜、お前がすぐに手に入らないのなら……次は、どうしてやろうか。