腹黒王子様の溺愛が規格外。

次の日。

朝食を食べている間、少しギスギスしていた。

僕が全般的に悪いのに……本当、情けないな。

素直に謝ろう……。


「蓮くん!」
「桜」  

「あっ……ご、ごめんね?いいよ先……」

「いや、いいよ」


また桜が気まずそうにする。ショックだなぁ……。

そのあとも無言が続き、一言も会話を交わさずに学園に着いた。


と、階段を登る前の廊下で最悪の展開が待ち受けていた。


「おはよ蓮……」

「三上先輩?」


僕の首に腕を回して寄りかかってきた三上優良。一つ上の三年生だ。

正直僕はコイツが嫌いだ。


なぜならコイツの好みがつり目で茶髪の弱気な女の子、だから。


そんなのまるで桜じゃないか!!

まだ2人の接触は許していない……が、最悪の展開を迎えてしまったらしい。


「三上……?もしかして、この間お父さんがお世話になった社長さんの息子さんですか……?」


少し控えめにそう聞いた桜。今すぐにでもこの腕に閉じ込めておきたい。


「……は?可愛い」

「え、え?」

「君名前は?ああ、蓮の婚約者の父さんから聞いたよ、……たしか、桜ちゃんだっけ?」

「は、はい……!」


まさか……婚約発表が仇と出るとは……。

名前は出していないが、やっぱり三上ぐらいの御曹司になれば調べはつくのか。


はぁと大きなため息を溢しながら、桜の手首をそっと握りしめる。