腹黒王子様の溺愛が規格外。

「わかんないけど……大切な人、なんだ」


どんどん空気が重くなっていく。

そりゃ、そうだよね、初恋のこと……なんて、蓮くんに言わなくていい。

知らなくていいはずなのに。


「ねぇ、桜」

「な、なぁに?」

「桜はどこからが浮気だと思う?」

「う、浮気……?キスとか……?」

「じゃあ僕が他の女と手繋いだりハグするのはいいんだね?」

「えっ……や、やだ……」


考えただけで、モヤモヤが止まらなくなる。そんなの、絶対に嫌だ。



「ふふっ、だよね?僕は桜が他の男と喋るだけで嫌だよ」

「そ、そっか……」


じゃ、じゃあ雅くんに抱きついてしまった私は——


「それでさ、浮気したらペナルティをつけようと思うんだ」

「えっ……?」

「3回浮気したら……1週間外出禁止ってどうかな」

「い、1週間!?」


つい大声を出してしまって、慌てて口元を手で塞ぐ。


「何……?別に浮気しなければいいだけの話でしょ?」

「そ、そうだけど……」

「やっぱり一回にしよう。別にするわけじゃないんだから、3回だなんておかしい」

「えっ……」


雅くんに抱きついてしまったのは浮気?だなんて聞けるはずもなく、私の胸の中でモヤモヤが大きくなっていくばかりだった。