「で、でも蓮くんが……」

「桜はよくわかってるね、そんなこと許すはずないだろ」


眉間に皺を寄せながら、怒り気味にそう言う。


まるで威嚇している狼のようだ。


「……じゃあ桜、月曜日家行くね」


耳元でそれだけ言って、行ってしまった秋ちゃん。


……家?昔の方の……?それとも……。

いいや、考えるのはやめよう。きっと冗談だし。


ふぅ、と一息ついて、蓮くんの方を見る。

面倒ごとが増えた、と言わんばかりに呆れた顔をしていた。


気のせいかもしれないけれど、蓮くんはとっても表情豊かだと思う。


「桜」

「ん?どうしたの?」

「土曜日用事があるって、なに」

「あっ、蓮くんに伝えるの忘れてた……!お友達とお出かけしてくるんだ!」

「友達?それって男?」

「ううん、女の子だよ!」

「そっか」


少し安心したような表情をする。

私に対して、ちょっぴり心配症だと思う蓮くんは。


それぐらい、大切にされてるってことだと思うけれど。


「ねぇ桜」

「ん?」

「明日、一緒にパフェ食べ行かない?」

「パ……フェ……!?」

「うん、いちごとチョコいっぱいのでっかいやつ」

「食べ行く……!!」