「桜、ただいま」

「蓮くんおかえり」

「……元気ないね」

「えっ?そ、そうかな?」


そう言う蓮くんこそ、なんだかズーンと沈みきっている気がする。


「なんかあった?」

「ううん、特に何もないよ」

「……そっか」


雅くんのことは、もう終わったことだし……また会って、話せたらいいなぐらいで蓋を閉めておこう。

だって私は今、蓮くんが好きなのだから。


「あれ?なんか険悪ムード?」

「そ、そんなことないよ!!っていうか蓮くんこそ、どうしたの?」

「僕もどうもないよ。ただ気力が出なかっただけ」

「そっか……」


天気はいいのに、なんだかどんより……。

HRまでまだ余裕があるし、少し蓮くんとおしゃべりしていたかったのだけれど……。


厄介な人がやってきたようだ。


「さーくーら」

「きゃー!!出雲先輩よっ!!」

「しゅ、秋ちゃん……!?」


女子たちが騒ぎ出す中、秋ちゃんが教室に来たことに驚きを隠せない。

いや、用事があるのは私じゃないかもしれないし……!