腹黒王子様の溺愛が規格外。

その後、特に誰からも指摘されることなく50分ぐらい眠りについた蓮くんだった。

私はと言うと、言わずもがなドキドキして授業なんて頭に入ってこなかった。



放課後。

蓮くんが生徒会の仕事を家でやると言ってくれて、荷物を取ってくるのを待っている時のことだ。


「あ、あの……桜ちゃんっ……」

「桜子ちゃん?」


スタイルがよく、丸メガネに三つ編みをしているこの子は美山桜子ちゃんだ。


あんまり喋ったことはないけれど、別に仲が悪いわけではない。


「これ、落としたよ」

「えっ!あ!本当だ!」


ハンカチを差し出されて、自分のスカートのポッケを触り確認するもそれはなかった。


「ありがとう桜子ちゃん……!!」

「ううん、あ、あの……次の土曜、空いてるかな」

「土曜日?空いてるよ!」


うちの高校はバイト禁止だから休みの日にやることなんて特にない。

それに、蓮くんならきっと許したくれるだろう。


「じゃ、じゃあ……!!猫カフェ、行かない?」

「猫カフェ!?いいね!行きたい……!!」

「本当っ……!?嬉しい!じゃあ決まりね、2時にカフェ集合で!」

「うん!あっ、じゃあ連絡先交換しておく?」

「いいの……?」

「もちろん!」


スマホを取り出そうとしたその時だった。


「あれ……スマホ……」


先ほど確認した方とはちがうポケットを触る。

当たり前だ、蓮くんに預かられていれた覚えもないのだから……。


「スマホないの……?」

「ごめんね……!家に置いてきちゃったみたい……!」

「そっか、じゃあまた今度で大丈夫だよ!」

「ありがとう……!」

「一応場所だけ教えておくね」