腹黒王子様の溺愛が規格外。

もう考えたってしょうがない、と諦めて私も大人しく授業を受けることにした。



授業中、蓮くんの視線をチラチラ感じる。

蓮くんがいることについて、先生からはなんの説明もされなかった。

けれど、別に否定されているわけではないしいることがだめというわけではないのだろう。


教科書を見るため、くっつけた机。


蓮くんと距離がものすごく近い。


なんだか、ドキドキするなぁ……。


高鳴る鼓動を抑えようとしている中、手に触れられた。


ぴくっと震えるも、丸ごと包み込まれるように握られる。


「桜の手、ちっちゃくてふわふわだね」


耳元で、そう囁かれてまたぴくっと身体が震えた。

本当、蓮くんは私をドキドキさせるプロだ。


これ以上、視界に入られたらどうなってしまうのかわからないので、ぎゅっと目を瞑っていた。

すると……スースーと、規則正しい寝息が聞こえてくる。

それと共に、肩に重みがかかった。


「れ、蓮くん……?」


どうやら彼は、寝てしまったらしい。

私と手を繋いで、くっつきながら。


こんなに無防備な姿を見せる人じゃなさそうなのに……。

ふと、朝言っていたことを思い出した。


一緒に寝る約束だ。


くっついて寝てる……私で、安心してくれたってことでいいんだよね……?


嬉しいっ……。