腹黒王子様の溺愛が規格外。

あの優秀な生徒会長様が、教科書を忘れるだなんて信じられないけれど……忘れてしまったものは仕方がない。


「じゃあ、私の一緒に見る?」

「いいの?」

「うん!」

「ありがとう、桜」


私の、と言っても用意してもらったものだけれど。


ほぼ全て家に忘れてきてしまった私。お兄ちゃんからもらった大切なぬいぐるみもだ。


最初に自分の部屋に案内してもらった時、新しい服や物がズラーと用意されていて……あの時は、本当にびっくりしたなぁ。



「……授業始まるよ?何考えてるの、桜」

「わっ!授業!えっとね、蓮くんのお家ってすごいなぁって改めて思ってたって……え?」


私がそう口走った瞬間、女子たちの視線が一気にこちらに向く。

そしてようやく気がついた。このクラスの女の子は私たちに見向きもしていない。

ここにいるのは、全員他のクラスか上級生の人だと言うこと。