腹黒王子様の溺愛が規格外。

「そうだよ、僕だってよくする」

「そ、そうなんだ……嫉妬、しちゃったんだ……」


蓮くんもよくするって……それなら、悪いことじゃないよね……?


「……桜、可愛い。こっち来て」

「へっ?」


今度は私が手を引かれていく。

また少し駆けながら、辿り着いた先は教材などが置かれている空き教室だった。


「れ、蓮くん?」


ガチャリと音がする。どうやら鍵をかけたらしい。


部屋の中に閉じ込められるだなんて、トラウマでしかないけれど……どうしてだろう、蓮くんが一緒なら何も怖くない。


「桜、ごめん我慢できなくなってきた」

「へっ?」

「キス、していい?」

「っ……!そんなこと、聞かないでっ……」


ドンドン蓮くんに壁に追い詰められていく。

ドンッ、と真横に手が置かれて逃げ場がなくなった。


そしてまた、両頬を大きな手で包まれる。


「……その上目遣い、たまんない」


蓮くんに口付けられた。嫌ではなくて、むしろ幸せで。


「蓮くん、もっとっ……」


つい、そんなことを言ってしまった。

慌てて口を塞ぐ。けれど、その手も優しく蓮くんにどかされてしまい、またキスをしてもらった。


私、変だ。自分が自分じゃないみたいっ……。


まるで、愛に飢えているような感覚がしてしまった……だけど、きっと蓮くんも今私とおんなじ表情をしている。

もっと欲しい、って顔だ。