「あらあら、おめでとうございます。今日はケーキでも用意しておきますよ」

「ああ、ありがとう」

「ありがとうございます……!」

「ではそろそろお時間ですので、いってらっしゃいませ」

「行ってきます……!」

「行ってきます」



こうして、屋敷を出た私たち。

改めて、こんなに豪華な場所での生活が始まるのかと思うと、ワクワクする。


大きな車……いや、リムジンに乗り込む。


運転手は佐々木さんだ。昨日もそうだったにちがいない。


ふかふかの座席。蓮くんの家はなんでもかんでもふかふかな気がしてきた。


今着ている制服はおそらく新しいものだ。昨日は制服で蓮くんの家に行ったけれど、これは新品の匂いがする。


「……あー……楽しみだね」

「楽しみ?」

「うん、僕たちの婚約発表に対する反応」

「は、発表なんてするの……!?」

「そうだよ、一条グループの跡取りの花嫁さんが決まったんだから、そのぐらいするよ」


恐るべき一条グループ……!お金持ちの次元が全然ちがう!