「……蓮くんは、私なんかでいいの……?」

「桜だからいいんだよ。なんかなんて言わないで?桜はとっても素敵な女の子だよ」


たったそれだけ、本心を言っただけなのにぶわっと涙が溢れる桜。

そんな彼女の綺麗な涙を人差し指でそっと拭う。


「これからよろしくね、桜」

「う、うんっ……!!」


桜は無意識なのか僕にぎゅっと抱きついてきた。正直心臓が破裂するかと思ったが、そっと抱きしめ返して心を沈めた。


「家に着くまで少し時間がかかるんだ、ごめんね」

「ううん、全然大丈夫だよ!」

「よかった」


できるだけ桜の元いた家から遠ざけてあげたいから。

それに、登校するときは一緒に車に乗りたいし。


桜が今まで安心できなかった分、俺が安心させて幸せをあげたい。


桜のためなら、なんだってするしできる。



だから一生、俺の腕の中にいて。


そんな思いを込めて、桜を抱きしめる腕に力を込めた。



しばらくして、我が家に到着する。


ここは一条家の別邸だ。まあほぼ僕の家。



屋敷にいるのは幼い頃から僕の面倒を見ている近藤と佐々木、料理人が数名ぐらい。

桜も伸び伸び暮らせるだろう。