「付けてあげるね」

「うん!」


そっと手を支えられて、薬指に指輪が通る。


「ふふっ、指輪が見劣りしまくってるけど似合ってるね」

「そ、そんなことはないよ!でも、ありがとうっ……」

「うん、これからもずっと一緒にいようね」


泣き始めてしまった私を包み込むように抱きしめてくれた蓮くん。

ああ……本当に大好きだ。


最初に出会った頃は、ここまで人を好きになるだなんて思いもしなかった。


しばらく背中をさすってもらい、私はあることに気がついた。


「蓮くんは指輪、しないの?」

「ああ、忘れてたよ。桜にはめてもらいたいと思ってて」

「そうなんだ!じゃあ私がやる!」



差し出された指輪を持ち、今度は私が蓮くんの手を支えて指輪を通す。


「ふふっ、似合ってるよ」

「ありがとう、桜」


ちゅっとおでこに口付けられる。


「可愛いね桜……本当、可愛い……」

「急にどうしたの?」

「四六時中ずっと考えてること、口に出ただけだよ」

「あはは、そっか」


再び抱きついて来た蓮くんを抱きしめ返した。


「そろそろお風呂入って寝ようか」

「うん!あ、蓮くんも一緒に入る?」

「……え?」

「せっかくだし!誕生日記念に、ね?」

「……いいの?しきたり破ることになるけど」

「え?しきたり?」


よくわからないけれど……私はもっと、蓮くんに触れて欲しい。


「……わかった、桜のためならルールだって変えてあげるよ。そうしよう。覚悟はできてるね?」

「う、うん……!」


今更だけど緊張してきたっ……!


「じゃあそうしよう」

「うん……!」




そして次の日の朝。


「おはよう桜」

「おはよう蓮くん」


ぎゅっと抱きしめ合いながら、幸せな朝を迎えた。


そして……着替えて朝ごはんを食べに行こうとすると……。


「おはようございます!お誕生日おめでとうございます桜様!」

「ありがとうございます……!」


嬉しいけど……さ、桜様?

なんだか慣れないな、もしかしたら昨日婚約パーティーして公認になったから変わったりしたのかな?