ジュース片手に、フラフラと歩いている。

人酔いしてしまった……。



あまり人が多いところは実は得意ではないのだ。


「……桜ちゃん?」

「み、三上さん……?」

「大丈夫?顔色悪いよ」

「ご、ごめんなさいちょっと気分悪くて……」

「そうなんだ、バルコニーの方行こうか」


そっと手を握られて、引かれていく。

広いバルコニーには人はいなかった。



「ここなら少しは気分よくなると思うんだ」

「確かに……!ありがとうございます!」

「ふふっ、いいよいいよ。僕も人が多いところ苦手だし。それでよくここに来てるんだ」

「そうだったんですね……!」

「うん」


やっぱり、小さい頃からパーティーとか出てそうな人でも苦手なものは苦手なんだなぁ。

……それなら、蓮くん大丈夫かな。


「……桜ちゃんは蓮といて幸せ?」

「……へっ?」

「あ、悪い意味じゃなくてだよ?」

「は、はい!幸せですよ」

「そっか」


少し悲しそうに微笑んだ三上さんにか胸が痛む。

どうして、そんな顔するんだろう……。


まさか……


「蓮くんのこと、狙ってましたか!?」

「……え?」

「えっ、ち、ちがうんですか!?」

「あはは、僕が狙ってたのは桜ちゃんだよ」

「わ、私……!?」

「本当、表情がコロコロ変わって面白い子だね」


頭を撫でられそうになったその時だった。


「桜!ごめん、ちょっと長引いたよ……一緒にいてもよかったのに、気使わせちゃってごめんね」

「ううん全然!それより蓮くんも顔色悪いけど大丈夫?」

「うん……女もいっぱいいるし、話は長いしで疲れちゃったよ……」

「そっ、そっか……お疲れ様!」


蓮くんの頭を背伸びしながら撫でようとすると少しかがんでくれて、ポンポンとすることができた。