少しつり目な目に、ミディアムヘアの髪。
優しくて人を気遣いすぎてしまう愛しい君。





寝てしまった桜。

やっっと……俺のものになった。


ここまで長かったなぁ……。


桜の部屋から出る。

窓すらなくとても狭い部屋。


今まで与えられなかった幸せを、どうやって与えようか考える中……桜の兄、日向から視線を感じる。



「桜をどうするつもりだ」

「別に何もしませんよ」


悔しそうに下唇を噛み締める。

ああなんてザマだ面白い。桜を取られて絶望に浸っているのか?

本当バカだな、惨めだ。


階段を降りて、玄関へと向かう。


本当に華奢な身体だ。全体的に細すぎる。

よくよく見ていれば顔色も悪い。調べはついている。

桜のことで知らないことなどない。


……僕が、無力でなければ……もっと早くに桜を助け出すことができたと言うのに。



申し訳なさと共に、愛おしさで家を出てから額にキスを落とした。


「これからは、ずっと幸せにしてあげるからね」


そう、例え何が起きようとも。

そして車に乗り込もうとした時だった。


桜の妹が帰ってきたのだ。どうせ男にチヤホヤされていたのだろう。


「い、一条、蓮、様……!?」


そう言われた途端、虫唾が走って思わず睨みつけた。


「っ……!!も、申し訳ありません……!!」


僕の名前を気安く読んでいいのは桜しかいない。学園にいる女は全員僕を苗字で呼ぶ。


「あ、あの……どうして桜なんかを……!!」

「お前には関係ないだろ。これから地獄を見るんだな」


それだけ言葉を捨てて、車に乗り込んだ。


桜を自分の膝の上に乗せて、ぎゅっと抱きしめる。