「ひ、陽菜ちゃん……!!私は大丈夫だから離してあげて……!」

「アンタもアンタよ桜!!そうやって人に優しくしてるから変なヤツにばっか好かれるの!!本当に大事にしたいヤツにだけ優しくしたっていいのよバカ!!」

「陽菜ちゃん……」


私のこと、庇ってくれるなんて初めてだね。

嬉しくてさらに涙が溢れる。


「桜……」


蓮くんが私をぎゅっと抱きしめた。強く抱きしめ返して、胸に顔を埋める。


「怖かったね、ごめんね……」

「ううん、蓮くんが来てくれたからもう大丈夫」

「それはよかった……」


本気で心配してくれていたようで、力が抜けるようにため息を吐いた蓮くん。

だけどその背後から……秋ちゃんが迫ってくるのが見えた。


桜子ちゃんもだ。

2人とも手に何か持って……あれは、ナイフ!?


「蓮くん後ろ……!!!」

「ん?」


後ろも向かずに私を抱き抱えて、2人をかわした蓮くん。

蓮くんって一体何者!?


そんなこと考えてる場合ではないのに、頭によぎってしまった。


「お前さえいなければ桜は俺のものになったのに!!」

「桜ちゃんと結ばれないなら一緒に死んでやる!!」

「全く、桜は本当に可哀想だね。重いヤツらに好かれて……まあ僕は例外だけど」


そんなことを言いながらナイフを振り回す2人をかわし、首の後ろを軽く叩いた蓮くん。

すると2人は気絶してしまった。


「れ、蓮くんも陽菜ちゃんも……ありがとう!」