にっと微笑んだ桜はなぜだかたくましくて、お姉ちゃんとはこう言う存在なんだな、なんて思ってしまった。


渡された服に着替えながら考える。


私も、桜に憧れている時期があった。

小学校低学年ぐらいの時だけれど、優しくて綺麗な桜が、カッコいいと思っていた。

まあどんどん、ドロドロしていったけれど。


「桜ー」

「っ……!蓮くんだ、早く隠れて!」

「えっ、ちょっと……!」


背中を強引に押されて、クローゼットに入れられた。


「お、おはよう蓮くん……早かったね」

「あはは、遅いよ全然……っていうかどうしたの桜?随分疲れたような顔してるけど……」

「蓮くんが私のことぎゅってして寝るから、動けなくて」

「ごめん、嫌いになった?」

「なってないよ、あ、朝ごはん食べに行こう?」

「そうだね」


手懐けるようにあの一条様と会話をして、どこかに行ってしまった桜。


そうだ、メールで連絡取れるように……そう思ったけれど、あの一条様が対策してないはずがない。

きっとスマホももう新しいものにさせられているだろう。