玄関に私が座り込むと即座に扉の鍵を閉めた桜は、私に手を差し出す。

その手に触れると不思議と安心して、立ち上がることができた。

そして手を引き、どこかへ連れて行かれる。


しばらく歩いた後……。


「私の部屋だから、しばらくここにいて。服も着替えよう、盗聴器とかついてるかもしれないし……!」

「うん……」

「これ着て、私と身長同じぐらいだし着れると思う」

「……ありがと……。ねぇ、なんでそんなしてくれるの?」

「正直陽菜ちゃんのこと嫌いだけど、妹だからかな……家族じゃなかったら、絶対許してないかも」

「そう……」


桜がたまに毒を吐くって噂はほんとだったのね……。

なんて呑気に考えてしまった。


「私もあんたのこと嫌い……だけど、今は桜しか頼る人いないから。勘違いしないでよね」

「わかってるよ」