よし、ここを美山が受け止めれば——!

そんな希望を抱いたのも束の間だった。


一条は見事に美山にぶつからないように、避けてバランスをとりながら着地したのだ。


「わっ、蓮くんすごい!」

「桜にカッコ悪いところは見せれないからね」

「えへへ、そっか……!」


本当にバカップルだ……。

拳を握りしめる。爪が食い込んで痛くなるぐらいまで。


「美山さん、怪我はない?」

「……うん、大丈夫だよ」

「それはよかった。本当ぶつからなくてよかったよ……。それより2人とも、なんでこんなところにいるの?」


何かを疑う……いや、見透かしたような目で俺と美山を見つめる一条に、背筋が凍った。

なんだよその目……。


まるで、桜に手を出そうとするなら許さないと言わんばかりの目。

黒いオーラもものすごい。