結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

「い、いえ。私なんて全然」
「全然何?」
「えーと、素敵じゃないと言うか」
「そんな事ないですよ。九条さんは魅力的だ」
「あ、ありがとうございます」

褒められる事に慣れていないから恥ずかしい。急にどうしたらいいかわからなくなる。
あたふたとコーヒーを飲むと、南係長が笑い、「そういう所が素敵です」とまた褒められた。南係長がこんなに褒めてくれる人だとは思わなかった。

姫香に会って落ち込んだ気持ちが南係長のおかげで晴れた。コーヒーを飲みに来て良かった。

お店を出た後は南係長の車でマンションまで送って頂いた。
南係長もベリが丘のサウスエリアに住んでいると運転しながら話してくれた。

「じゃあ、お疲れ様」

車から降りると、南係長に言われた。

「はい。お疲れ様です」

白いSUV車がマンション前を走り去っていく。

南係長、親切な人だな。チョコシフォンを作ったら南係長にあげようか。そんな事を考えながら、オートロックの正面玄関を通って、エレベーターに乗り込んだ。

10階で扉が開いた時、エレベーター前に立っていた人物の顔を見て心臓がぎゅっと押し潰されそうになった。