結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

今日も定時で仕事を終わらせて、帰りはスーパーに寄った。
姫香の事があって疲れたから、チョコシフォンを作りたくなった。
広くなったキッチンはお菓子を作るのが楽しい。

買い物かごに材料の板チョコと卵を入れ、無人レジに並ぶ。

「お疲れ様です」

列に並んでいたら声を掛けられた。振り向くと南係長だった。

「あ、お疲れ様です」

今日もスーパーで会ってしまった。
すごい偶然。もしかして南係長もベリが丘に住んでいるんだろうか?

「コーヒーでも飲みませんか?」
「えっ」

まさか南係長に誘われるとは思わなかった。

「すみません。上司と一緒にいるのは疲れますよね」

まずい。早く帰りたいと思った事が顔に出ていたんだ。

「い、いえ。そんな事ありませんよ。はい。コーヒー飲みたいです」

せっかく誘ってくれたんだし、少し寄り道してもいいか。

精算が終わった後、南係長に連れられてスーパーの隣にあるコーヒーチェーン店に入った。
店内は芳ばしいコーヒーの香りが漂い、何だかほっとする。

レジで本日のおすすめのブレンドコーヒーを頼んだ時、南係長が「同じのもう一つ下さい」とレジの人に言った。一緒に買うの? と思っていたら、私の分のお会計も南係長が払ってしまった。

「南係長、私の分のお金」
「九条さんこっちです」

お財布からお金を取り出そうとしたら、南係長がコーヒーが置かれたトレーを持って、レジ脇の階段を上る。