正面から先生の姿をハッキリと見て、昔よりもカッコ良くなったと思う。
艶のある黒髪、形のいい額、キリッとした知的な瞳……。そんな瞳で見つめられたら誰だって先生に恋する。しかも先生は自分の容姿がいい事をちゃんとわかっていて、女性を口説くから質が悪い。私も酔った先生に一度だけ口説かれかけて、危ない目に遭った。あの時から先生に警戒するようになった。今も絶対に気が抜けない。私は先生が大嫌い。そう自分に言い聞かせて私より20㎝背の高い先生を見た。
「腕、放して下さい」
「失礼」と言って、先生が私の腕を解放した。掴まれていた箇所がなんだか熱い。
「実は今日、結婚パーティーに招待されていまして。そこのスカイバーを貸し切ってあるんです」と言って先生がハッとしたように私を見る。
「もしかして九条さんも結婚パーティーに招待されて?」
「いえ。私は偶々で。スカイバーが貸し切りになっていた事も知らずに来てしまいました」
「僕にとっては九条さんに会えたから大変都合が良かったです」
ニッと先生が笑みを浮かべる。
先生の笑みを見て、なぜか悔しい気持ちになった。
「そうですか。早く本題に入って下さい」
「今日のパーティーの主役の花嫁は、妹のような存在の人なのです。彼女は独身でいる僕の事をずっと心配しておりまして。あまりにも心配するから、つい、結婚パーティーに婚約者を連れていくと見栄を張ってしまったんです。婚約者の役を引き受けてくれる人は何とかなるだろうと思っていたのですが、今日まで見つからず、どうしようかと思っていた所、九条さんとお会いした訳です」
「つまり、花嫁さんを安心させたいから婚約者の役を引き受けて欲しいと?」
「そういう事です。あと、女性除けになって欲しくて」
「女性除けですか」
パーティーで女性に囲まれている先生を簡単に想像できてしまう。しかし、そんなのいつもの事ではないのか?
艶のある黒髪、形のいい額、キリッとした知的な瞳……。そんな瞳で見つめられたら誰だって先生に恋する。しかも先生は自分の容姿がいい事をちゃんとわかっていて、女性を口説くから質が悪い。私も酔った先生に一度だけ口説かれかけて、危ない目に遭った。あの時から先生に警戒するようになった。今も絶対に気が抜けない。私は先生が大嫌い。そう自分に言い聞かせて私より20㎝背の高い先生を見た。
「腕、放して下さい」
「失礼」と言って、先生が私の腕を解放した。掴まれていた箇所がなんだか熱い。
「実は今日、結婚パーティーに招待されていまして。そこのスカイバーを貸し切ってあるんです」と言って先生がハッとしたように私を見る。
「もしかして九条さんも結婚パーティーに招待されて?」
「いえ。私は偶々で。スカイバーが貸し切りになっていた事も知らずに来てしまいました」
「僕にとっては九条さんに会えたから大変都合が良かったです」
ニッと先生が笑みを浮かべる。
先生の笑みを見て、なぜか悔しい気持ちになった。
「そうですか。早く本題に入って下さい」
「今日のパーティーの主役の花嫁は、妹のような存在の人なのです。彼女は独身でいる僕の事をずっと心配しておりまして。あまりにも心配するから、つい、結婚パーティーに婚約者を連れていくと見栄を張ってしまったんです。婚約者の役を引き受けてくれる人は何とかなるだろうと思っていたのですが、今日まで見つからず、どうしようかと思っていた所、九条さんとお会いした訳です」
「つまり、花嫁さんを安心させたいから婚約者の役を引き受けて欲しいと?」
「そういう事です。あと、女性除けになって欲しくて」
「女性除けですか」
パーティーで女性に囲まれている先生を簡単に想像できてしまう。しかし、そんなのいつもの事ではないのか?



