結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

「な、な、何言ってるの! 先生が私を好きになる訳ないじゃん!」
「そうかな」
「そうよ。もう、変な事言わないでよ」

はあ。顔が熱い。

「だってさ、北沢先生って、桜子の事気にかけていたじゃない」

――九条さん、データをまとめるのを手伝ってくれませんか?

時々先生に頼み事をされて、バイト代がもらえるから、先生の仕事を手伝っていたけど、先生が私を気にかけていたようには見えなかった。

「そんな事ないよ」
「そうかな」

舞子が納得いかなそうな顔をする。

「私、時々、先生に桜子の様子を聞かれたけどな」

えっ。

「そうなの?」
「うん。桜子が体調崩して講義を休んでいる時とかさ」
「きっと手伝って欲しい時に私の姿がなかったから聞いただけじゃない」

じっと舞子がこっちを見る。

「何?」
「桜子って北沢先生の事になるとムキになって否定するよね。なんで?」
「別にムキになってないよ。北沢先生は誰にでも優しいから、勘違いしちゃいけないと思っているだけ」
「ふーん」

舞子がまだ納得いかなそうに見てくる。

「桜子ってさ、もしかして先生の事……」

舞子がそう言いかけた時、下から舞子のご主人の洸太さんがやって来た。