結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

「先生の好きな人って?」
「九条桜子さんです」

私の耳にハッキリと先生の声が届いた。
聞き違いじゃない。確かに私の名前を言った。

「私が……好きなの?」
「大好きです」

胸の奥から熱いものが一気に目の奥まで込み上がり、また私を涙でいっぱいにする。
嬉しくてみっともない程泣いた。私の恋は一生片思いだと思っていたから、先生から大好きと言われる日が来るとは思わなかった。片思いが両想いになった瞬間がこんなに幸せだとは思わなかった。

「あーもう、そんなに泣かなくても」

ハンカチで先生が涙を拭いてくれるけど、ハンカチでは足りず、先生がどこからかティッシュを持って来てくれる。私の側に戻ってくると、私は再び先生の膝の上に乗せられる。先生はずっと私を抱っこしたまま。大人なのに子どもみたいに扱われて、ちょっと恥ずかしい。

「ところで、仕事は大丈夫?」

先生の膝の上でチーンと鼻をかんでいる時、聞かれた。
そうだ! 仕事!

いや、今日はこの顔で外に出られない。休もう。
スプリングコートのポケットからスマートフォンを取り出して休みの連絡をした。ちょうどいい具合に鼻声で、風邪を疑われる事はなかった。

電話を置くと「風邪ですか」と先生に突っ込まれた。
「この風邪は先生のせいですからね」

軽く睨むと、チュッと短く先生が私の唇にキスをした。