驚いて南係長を見返すと、眼鏡の奥の瞳が真っすぐ私を見ていた。
「いきなりこんな事言われて驚きますよね。でも、僕は真剣な気持ちです。九条さんとは出会ったばかりだけど、君の事が気になるんです。もっと君を知りたい」
南係長にそんな風に思って頂けるとは思わなかった。
だけど、南係長の事は恋愛対象として見た事がない。
「あの、こんな地味な私の事を知りたいと思って頂けるのは大変、ありがたいのですが……」
断わりの言葉を続けようとした時、私の言葉を遮るように「返事は今じゃなくていいです」と言われた。
「でも、早くお返事をした方がいいと思いますが」
「九条さん、返事は一ヶ月後という事で。僕の事を一ヶ月だけ考えてみて下さい。お願いします」
南係長に頭を下げられて、何も言えなくなった。
※
マンションに帰って来るとどっと疲れた。
ソファに崩れるように横になった。
ぼんやり天井を見つめていると涙が滲んでくる。
――結婚式は夏ごろを予定していますの
西園寺詩織さんの言葉が耳に残っている。
やっぱり先生、西園寺詩織さんと結婚しちゃうんだ。
私に結婚しようって言ったくせに。
先生の嘘つき……。
私を抱きたいと言ったのは結婚前に遊びたかったって事? そうだよね。先生、プレーボーイだったもんね。毎朝、違う女性がベッドにいるなんて噂話を大学でよく聞いた。
酷いよ。あんまりだ。先生のバカ。
こんなに苦しい想いをするんだったら先生と再会したくなかった。
「いきなりこんな事言われて驚きますよね。でも、僕は真剣な気持ちです。九条さんとは出会ったばかりだけど、君の事が気になるんです。もっと君を知りたい」
南係長にそんな風に思って頂けるとは思わなかった。
だけど、南係長の事は恋愛対象として見た事がない。
「あの、こんな地味な私の事を知りたいと思って頂けるのは大変、ありがたいのですが……」
断わりの言葉を続けようとした時、私の言葉を遮るように「返事は今じゃなくていいです」と言われた。
「でも、早くお返事をした方がいいと思いますが」
「九条さん、返事は一ヶ月後という事で。僕の事を一ヶ月だけ考えてみて下さい。お願いします」
南係長に頭を下げられて、何も言えなくなった。
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マンションに帰って来るとどっと疲れた。
ソファに崩れるように横になった。
ぼんやり天井を見つめていると涙が滲んでくる。
――結婚式は夏ごろを予定していますの
西園寺詩織さんの言葉が耳に残っている。
やっぱり先生、西園寺詩織さんと結婚しちゃうんだ。
私に結婚しようって言ったくせに。
先生の嘘つき……。
私を抱きたいと言ったのは結婚前に遊びたかったって事? そうだよね。先生、プレーボーイだったもんね。毎朝、違う女性がベッドにいるなんて噂話を大学でよく聞いた。
酷いよ。あんまりだ。先生のバカ。
こんなに苦しい想いをするんだったら先生と再会したくなかった。



