追試も無事に終わり。
ついにやってきたデート当日、土曜日の朝。

昨日の夜は、なかなか寝付けなくて、学校に行くよりも早い朝5時にパチっと目が覚めてしまった。

普段はパンツのことが圧倒的に多いけど、今日は特別に、白の薄手ニットに、ベージュカラーの膝丈サスペンダースカートというコーデ。

何度も、変じゃないか鏡の前に立って確認した。

結衣と一度遊びに出かけた時に着たことはあるので大丈夫だとは思うけど……頭の中は常に、矢吹さんにどう見られるかってことばかりだ。

少しでも大人っぽく、少しでもいつもとちがうって思って欲しい。

長いロングヘアーもお団子にして後れ毛を緩く巻いて。

リップだって、結衣からプレゼントにもらったお高めのものを付けてみた。

我ながら、上出来、なんて思っているけれど。

『じゃあ、明日の朝11時にね。おやすみ』

矢吹さんから昨日の夜届いたメッセージを何度も読み返しては口元が緩む。

好きな人と、おやすみが言い合えるってこんなに幸せなことなんだって。

矢吹さんの一言一言に大げさだって思われるくらい、いちいちはしゃいでしまうんだ。

『どこに行きたいか決まった?』

『遊園地に……行きたいです』

画面をスクロールして矢吹さんとのやりとりを見直す。

大人な矢吹さんは、遊園地とかあまり好きじゃないかな、と思ったけど、矢吹さんと外に出てたくさん笑いたいって思ったんだ。

いつも、困らせた顔をさせたり迷惑をかけてばかりだから、できれば矢吹さんにも楽しんで欲しいって。