ストレートすぎる幼馴染に翻弄されてます

やったー!と喜ぶけど、すぐにあ、と言う顔をする。


「ちょっとまって、俺今すげー汗くさいから、シャワー浴びてからでいい?」

「もちろん。風邪引いたら大変だよね」


私が答えると、すぐに走って家の中に入って行った。


「じゃ、ちょっと猛ダッシュで浴びてくる!」

「そんな焦らなくていいからね。何食べたい?」

「オムライス!!」

「はーい」


私も家の中に入る。
私と翔ちゃんは家が隣同士で、私の部屋の窓を開けば彼の部屋とおしゃべりができるって言うぐらい近い。
昔はよく夜に話して、静かに寝なさいって2人でよく怒られたっけ。


「ただいま」

「あらあら、おかえりなさいませ、お嬢様」


ドアを開けると住み込み家政婦の花江さんが、笑顔で出迎えてくれた。

私は今この家に、花江さんと二人きりで暮らしている。
両親は共に音楽家で、父がピアニスト、母がヴァイオリニスト。
2人ともだいたい海外にいるから、会えるのは年末とか夏休みだけ。

寂しくない、は嘘になるけど、花江さんも蘭も、何より翔ちゃんがいるから昔よりは大丈夫だ。




翔ちゃんの大好物であるオムライスは、卵は少し半熟にして、チキンライスの上に乗せるのが定番。


「上手くできたっ…」


我ながら大満足の綺麗なオムレツ。これを包丁で切れば…。


「うわ、美味そう!」

「わっ、翔ちゃんもうきたの?」


いきなり耳元で声を聞いてびっくりする。お風呂上がりとわかるシャンプーの匂いがして、振り返ると翔ちゃんがTシャツにズボンというラフな格好で立っていた。


「あら翔太郎くん、いらっしゃいませ」

「こんにちは、花江さん!」