「うおっ、あの10番すごくね?」
「めっちゃドリブルうまい!」
「すっげぇ…」
目にも止まらぬ速さでドリブルして、どんどん敵を追い抜いていく…というか敵がついていけてない。
その勢いが衰えないまま、ゴールまであと少しというところまでたどり着いた。けれど…
「あっ!?」
シュート、と思いきやゴール前にいたDF2人が彼を囲む。徹底的な、パスを出させまいとするディフェンスだ。
あんなにマークされてたら、どこにもパスを出せない。…普通だったら。
でも。
彼は、やってのけちゃうんだ。
ーふわっ。
「!!」
「っ、しまっ…!」
焦ったような声が聞こえる。
でも、もう遅いと思う。
彼はボールを敵2人の頭上へと……高く上げた。
綺麗に弧を描くそれに気を取られている敵2人を抜いて、空中で自ら、そのボールを…
ボガッ!!
「決まったぁ!!」
わあっ!と歓声が上がる。パシュッという軽い音と共にゴールしたボールが、ころんと落ちた。
ピーッ!と笛が鳴り、試合終了。私の応援していたチーム…天羽ヶ丘学園高等学校が、勝った。
5ー0。圧勝だった。
しかもそのうち4点も決めたのは、先ほどシュートを決めた10番。
我が校が誇るエース……狼谷翔太郎だ。

