『っうう〜…ままぁ、ぱぱぁ…』

1人で寂しくて、いつも泣いていた。
すぐに帰ってくるからね、なんて頭を撫でられてうん!と返事をしたけれど、やっぱり平気なんかじゃなくて。

毎日部屋で泣くのが習慣になってた。

でも。


『大丈夫だかんな、俺、ずっと一緒にいるから』

彼はいつもにっ、と笑って手を握ってくれた。
わたしはしゃっくりを上げながら言う。


『ずっと一緒にいるなんて無理だよぉ、だって翔ちゃん帰っちゃうもん』


『んあ、そーだった』


でもなー、と、彼はまた笑った。
さっきよりも100倍ぐらい明るい、元気が出る笑顔で。


『いつか俺、ぜってーお前と………』





「んん…」


ぱちり、と目が覚めた。
チュンチュンとスズメの鳴き声が聞こえる窓をぼーっとみる。

なんだか懐かしい夢を見たような‥あれ、なんだっけ?ううん…思い出せない。

そうやって寝起きの頭で考えていたけど。ふと我に帰った。

って、今、何時!?

ばっと時計を見ればかなりギリギリの時間。
どうやら寝坊したみたい。


「いっ、急がなきゃ!」


試合が始まっちゃう!

絶っ対、今日のを見ないと、“翔ちゃん”は100%落ち込むはず!


………機嫌直すの大変だからなあ〜。


自然と溢れた苦笑で、私は慌てて準備に取りかかった。