「だ、大丈夫だよっ! 私一人で帰れるよ?」

「自分が大丈夫でも俺が大丈夫やない。行くで。」

 そ、そういうもの……?

 方向音痴ではないし、暗いからって言って外に出られないわけでもないし、一人暮らししてるから夜に一人で外に出る事なんて何度もある。

 そう伝えても明暮君は引かない様子だったから、私のほうが折れて大人しく送ってもらう事になった。

「じゃあ来歌君、またね。デート頑張って!」

「……おおきにな。」

 玄関先で来歌君に見送られてから、暗闇の中に飛び出す。

 夜になりかけって空が広がっていて、暗いとかよりも綺麗って言葉が出てくる。

 でもやっぱり肌寒くて、カーディガンの前ボタンを留めた。

「今日はわざわざ、来歌のこと見てくれておおきに。こっちとしても助かったわ。」

「私のほうこそありがとうだよ。楽しかったし、何より来歌君のデートのアドバイスできたから良かったよっ。」

 街灯が淡く光る道を、二人で歩く。

 さらっと車道側を歩いてくれてる明暮君に、つくづくイケメンだなぁと思ってしまう。