キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

「ねぇ奥さん、聞いた? あの噂。」

「えぇ聞きましたよ。日明様を狙う不良グループがまた、ここの辺りに出ているらしいですよね。」

「怖いわねぇ。どうして日明様を信仰しないのかが、わたくしには分からないわ。こんなにもわたくしたち、春暁街民に尽くしてくれているのに。」

「本当にそうですね。でもこればっかりは、日明様にどうにかしてもらうしかないわぁ。」

 ぼーっと時計台の下に突っ立っていた時、すぐ傍の通りから会話が聞こえてきた。

 日明様……また、日明財閥の話か。

 以前にも、日明財閥を狙って不審者がうろついていたって話は聞いていた。けどその話はすぐに聞かなくなって、噂によると日明財閥がその不審者たちを既に干したから……だそうだ。

 この街は小さな子供も多いし、その反面高齢者だってそれなりに住んでいる。多様な年齢の人がいるからこそ、早めに対応してもらえるのはありがたいで間違いない。

 ……どうして日明財閥は、誰一人として顔を明かさないんだろう。

 現在の日明財閥当主の名前も、顔も、生年月日も、誰一人知らないと言われている。おかしな話だと感じずに、何だと感じるというんだろう。