キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

 そんな結凛ちゃんの声は、どこか遠く。

「や~ゆ~ね~ぇ~!!」

「ゆ、結凛ちゃっ……よ、酔う……っ!」

 と、肩を酔うほど揺さぶられるまで上の空だった。



 な、なんだか疲れた……。

 朝から揺さぶられた反動が思いの外大きく、気持ち悪さがまた込みあがってくる。

 でも通学路で倒れるわけにもいかず、学校までにはなんとか持ち直した。

 やっぱり今日も明暮君が一番乗りらしく、電気を付けていない薄暗い教室に頬杖をつく明暮君。

 視線は言わずもがな窓の外で、ぼんやりしているように見えた。

 こ、声かけづらいっ……。

 その圧倒的な雰囲気から一瞬怯んでしまったけど、すぐに平常心を保とうと呼吸を整える。

 すー、はー……いつも通りに声かければいいだけ、大丈夫。

 何を昨日の事を気にしてるんだか。気にするだけダメだって思ってるのに、しっかりしろ私!

 自分自身に喝を入れ、ガラガラと教室の後ろ扉を開ける。

「お、おはよう明暮君っ。」

 自分の席に向かいながら、虚ろな背中に声をかける。