キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

「何で倒れたんや。」

「……兄貴には関係ないやろ。」

「あるから聞いてんねん。……鈴賀ちゃんの言う通り、死んでたらどうするんや。」

「……うっさいなぁ。」

 “鈴賀ちゃん”、かぁ……。

 名前を呼ばれる心づもりができていなくて、一瞬肩が大きく揺れた。

 しかも、なんか心臓の音早くない? き、気のせい?

 いやいや、名前……しかも苗字で呼ばれただけだよ? 何ドキドキしちゃってるんだろう、私。

 明暮君にとっては何でもない事なんだろうし、気にするだけダメだよねっ。うんっ。

「ほんまおおきに、こんなバカ弟の面倒と勉強見てもうて。」

「ううん、気にしないで! 来歌君が元気になってくれたんだし、ちょっとでも助けになれたようで良かったよ。」

「今度菓子折り渡すわ。」

「えぇっ、そんなのいいのにっ。」

 勝手に私がやった事で、わざわざ感謝される事でもない。

 気持ちだけ貰っておくよと伝えて、私は踵を返した。

「来歌君っ、体調には気を付けるんだよ? 明暮君、また明日――……っ。」