布団といくら引っ張っても、未だ布団ヤドカリの結凛ちゃん。

 よーっし、こうなったら……!

 流石に起きてくれさなすぎて、こっちもお手上げ状態。

 それなら奥の手を使うしか、ないっ!

「そういえば結凛ちゃん、だーい好きなみたらし団子専門店のやつ買ってたよねぇ~? あれ、食べちゃってもいい? まだ冷蔵庫に入れてあったの、見た気がするなぁ~。」

「……だ」

「だ?」

「ダメに決まってるでしょーっ!」

 バッ……!と大きな音を出して布団から脱却してくれた結凛ちゃんは、起きて早々私に詰め寄ってくる。

 その圧といったら……それはもう、凄い圧で。

 思わずのけぞってしまうほど、眼力と見えない圧力が強かった。

「何勝手にあたしの!大事な!みたらしを!食べようとしてくれちゃってんの!? 夜優ねぇでも許さないよ!?」

「……あはは、嘘だよ嘘。本当に食べるわけないじゃん、結凛ちゃんを起こす為の冗談だよ~。」

 こうでもしなきゃ起きてくれないでしょ?と付け加え、一旦離れてもらう。