キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

 そんな彼に、拾った用紙を差し出しながらこっそり伝える。

「これ、明暮君の……だよね? さっき落としてたよ。」

「……、あー。おおきに。」

 やっぱり明暮君のだったみたいで、私の手から用紙を取って胸ポケットにしまう。

 その後はやっぱりというか、また窓に視線を向けて頬杖をついていた。

「何、あれ……。」

 ……だけど、ちょっと気になった事がある。

『おおきに。』

 明暮君がそう言った時、偶然鎖骨辺りが見えた。

 そこには、ぞわっとしてしまうほどの深い傷があったのだ。

 思わず声に出してしまい、慌てて口を噤む。

 幸い明暮君には気付かれていないようで、ほっと胸を撫で下ろした。

 それに、明暮君の声……いつもよりも、低かったような?



 な、那奈のやつぅ……どれだけ私をこき使えば気が済むの……。

 お昼休憩、私はそんな事を思いながらいくつかの資料を抱えていた。

 もちろん写真部で使う資料で、一気に持って行かなくちゃだから相当重たい。

 本当は直接文句を言いたいけど、那奈は今バレー部のミーティングに出ている。いつもの如く、助っ人を頼まれているらしい。