だって……聖来君と触れ合うのは、何をとったとしても大好きだから。

「ほらほらお二人さん、置いてくよーっ!」

 少し遠くから結凛ちゃんが催促してくる声が聞こえる。

 今度こそ結凛ちゃんたちを追いかけようと、私は聖来君の手を引く。

 何があったとしても、例え本当に命を狙われたとしても。

 私はこの手を、離したくない。

 聖来君のそばに、ずっといたい。

 ……そんな願いを込めて、聖来君に満面の笑みを向けた。



 ――日明財閥は、春暁街という大きな街を支配している顔も名前も何も明かされていない財閥だ。

 そのくせ権力は強く、多方面から恨みを買う事も多い。

 そんな日明財閥の御曹司に、愛する人ができたらしい。

 けれど、その情報が出回る事はもうしばらく先になるだろう。

 何せ、日明財閥の長男は死ぬ気でそのお姫様を守るつもり……なのだから。

【FIN】