「イケメンに取り合いされるって何の小説?」

「小説じゃないよ……。現実なんだよ那奈、どうしたらいいと思う……?」

「好きなほうを選べばいいと思う。」

「はい?」

「だーかーらー、好みのイケメンのほうにホイホイついていけばいいって言ってるの。」

「ほ、ホイホイって……。」

 語弊生みそうな言い方だなぁ、それ……。

 はは……といった、絵に描いたような苦笑いが浮かぶ。

 目の前からはバスケのドリブルの音が聞こえてきて、そっちに気を取られそうになった。正直それどころじゃないけども。

 那奈のクラスとの合同体育、内容は男女別のバスケで今は那奈と一緒に観戦しているところ。

 だからちょうどいいと思って今朝の話をしてみたんだけど、あんまり真面目に取り合ってはくれない。どっちかというと楽しんでいそうな、からかいたそうな。

 ニヤニヤしたなんとも言えない表情を見せる那奈に、あからさまなため息が零れた。

「那奈、こっちは真剣なの! どうすればあの二人、仲良くなってくれるのかな……。」