キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

 彼がストーカーだったなんて、開いた口が塞がらない。

 でも……長寺君の様子を見るにそれは本当のようで、更に恐怖心が芽生える。

 私の精一杯の尋ねに、長寺君は不気味に口角を上げるとはさみをポケットにしまった。

「本当は明暮君をぼっこぼこにして夜優ちゃんに近付くのをやめてもらおうと思ったんだけど~……それ、ダメだったんだ。逆にやり返されちゃって、まだ色んなところが腫れてる。ほら。」

 そう言って、長寺君は頬の湿布を剥がした。

 あったのは湿布を貼るようなものでもない軽い切り傷だったけど、長寺君は痛がっているみたいで。

「こうなっちゃったのも、夜優ちゃんが僕に振り向いてくれないせいだよ? 毎日手紙送ってたのに、ぜーんぶ捨てちゃってさ。だから、責任取ってくれるよね?」

 捨てたものを把握されているなんて、考えた事もなかった。

 未知の焦燥と恐ろしさを身をもって体験して、“逃げなきゃ”って気持ちに拍車がかかる。

 それなのに、どうして私はいつも……!

 足が、動いてくれない。