それから連れてこられた場所は、閑静な住宅街の奥に立つ大きなお屋敷だった。

 夜だというのに煌びやかな光が見えそうで、瞬きを何度もしてしまう。

 も、もしかしてここって……。

 今日何度目かの、血の気がさーっと引く現象が私を襲う。

 ずっと私の手を握っている聖来君は、そのお屋敷まで丁寧にエスコートしてくれた。

「段差あるから気ぃ付けや。」

「う、ん……。」

 大きなお屋敷に入る前の、ちょっとばかり高い段差に乗って息を呑んだ。

 多分だけど、ここは聖来君の……というか、日明財閥のお屋敷。

 こんなところに私みたいな超一般市民が来ていいのかという底なしの不安と、本当に日明財閥はあったんだというわくわくが一気に波のように押し寄せる。

 けどやっぱり、一番に思うのは。

 私、日明財閥に消される……?

 そんな、想像もしたくないほど広がった恐怖。

 今まで日明財閥の情報は何一つ公言されなかったし、意図的に隠しているはずの日明財閥。

 何か知られたら都合が悪いとか、情報を知られたら知られたで危害が及ぶとか、隠していたほうが何かと便利とか。