キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

 それにこんなに簡単に、日明財閥だと教えるはずない。日明財閥の人は何もかもがシークレットだから。

 こう易々教えてしまっては、情報が漏れる恐れがある。

 だから聖来君の言ってる事は嘘の可能性が高いわけで……っ。

「わたし……認めたく、ない。」

 聖来君が日明財閥の人だなんて……信じたくない。

 信じてしまえば、あの話も信じてしまう事になる。

 いつか聞いた、根も葉もない噂。【日明財閥は危ない世界に足を踏み入れている】なんて。

 噂は単なる噂に過ぎない、かもしれない。

 でも実際やばい人たちから恨みを買っている事は確かで、今日拉致してきた人もやばそうな人だった。

 本当なのかもしれないと、感じざるを得ない。

「ま、ええよ。認めたくないんなら、それでええんちゃう?」

「……否定、しないんだね。」

「ほんまの事やさかい、否定する気もあらへんよ。」

 言葉はいつものように優しくて柔らかい言い回し。でも、声色は闇を感じ取ってしまうほどには冷たくて。

 私の目の前に居るのは“明暮聖来”じゃなくて、“日明財閥長男”なのだと悟った。