キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

 変に動いて相手を煽るような事になったら、それこそダメだし。

 私は静かに首を縦に振り、大人しく従う。

 私がおかしな動きを見せない事を確認したその人は、何かを口にした後近くに置いていたであろう車まで私を誘導した。

「乗れ。」

 地の底に這っていそうな低い声でそう言われ、いつの間にか震えていた足を上げる。

 途中こけそうになりながらもなんとか車のシートに座ると、口元にガムテープを貼られた。

 体の自由を利かせない為か、両手を結束バンドで纏められる。

 幸い足は自由だけど、足を使って何かをできるような状態じゃない。

 私をここまで連れてきた彼は、乱暴にドアを閉めると無言で発車させる。

 車窓からは綺麗な月光が差しこんでくるも、今の私は到底綺麗だとは思えなかった。

 ……それどころか、何も考えられない。

 これはきっと、誘拐されてる。それか拉致。でも、何で私が?

 誰かの恨みを買うような事はしていないし、無差別の犯行って線もあり得る。

 彼は何を思って、私を拘束しているんだろうか。